月刊「まなぶ」連載 経済を知ろう! 第11回 日本の金融(2)
行き詰まった金融政策 第2次安倍政権によって任命された黒田日銀総裁は、2%の消費者物価上昇を目標にした超金融緩和政策を推し進めました。まず、マネタリーベースをふんだんに供給することで金融政策面から景気を改善しようとしました。マネタリーベースとは、市中の現金流通量と市中銀行の日銀への預金の合計額を指します。これは日本銀行が直接コントロールすることができる量的な指標です。経済成長率が高く、設備投資資金などの資金需要が強い時期には、このマネタリーベースを核として、市中銀行がその数倍の信用供与による資金供給を行う構図がありました。これを信用乗数効果と言います。そこで、マネタリーベースを増やせば市中銀行が貸出に積極的になり、市中に資金が回ることで景気浮揚効果と物価上昇効果をもたらすという論理のもとにマネタリーベース増大が図られたのですが、すでに人口減少の下で設備過剰感が解消していない状況では、信用乗数効果はまったく発揮されませんでした。 また、金融緩和の方法として量、マネタリーベースの増加だけでなく、質的な緩和としてETF(上場株式投資信託)、REIT(上場不動産信託)や民間の社債を購入するという政策も実施しました。質的というのは、日銀がこれらの金融商品に付随するリスクを負担するという意味です。中でもETFの購入が額も大きく、株式市場に影響を与えてきたと考えられます。現在、日銀のETF保有額
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