【2023/10/23付日経記事コメント】指定管理者制度20年の功罪(上)効率性と学芸機能の間で
⚪︎要約公共施設の運用管理を自治体が民間に委託する指定管理者制度が導入されて20年となり、学芸員等の専門人材の待遇悪化、離職が増えていると。具体例として、川崎市の市民ミュージアムでは、民間委託で来場者数は年間20万人から30万人に増えたものの、台風による浸水時に被害のあった美術品等の収蔵品の復旧に際しては、専門人材が離職してしまっており、そもそもどれが重要なのかも分からなかったとの旨。一方、成功例として、十和田市現代美術館は、常設展で草間彌生等の目玉作品で人を呼び込み、企画展で若手作品の展示等意義のある取り組みを行っており、常勤の専門人材10人がこうした取り組みを支えているよう。※委託報酬は1億円で他案件と比較しても安価だそう。⚪︎コメント指定管理者制度のもと、収益性を確保しつつ、美術品等の貯蔵維持や芸術文化の振興につながる取組みを行うのは相当難易度が高いものと思う。指定管理者制度で委託を受ける事業者は報酬分が確保されている分、施設としての収益性を最大化するインセンティブに欠けるし、分かりやすい企画展に走り来場者数だけ増やせばいいでしょ、という観点になりそう。そもそも、指定管理者制度の前に、美術館等の公共施設自体が①赤字採算でも文化振興のために必要、②自治体財政からすればお荷物なので収益化が前提、と大きく分けると、基本的にマクロで見て国として財政悪化が著
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