組織の未来を覗き見る – バックナンバー
われわれの産業社会に、例えば生産工場がひとつも存在しないとしたら、一体どのような社会になるのか、想像してみることは容易でない。物はどのような形で生産されるのか。ビジネスはどうやって存続していくのか。ところで、われわれは本当に産業社会に存在しているのだろうか。最近のようにエネルギーの節減が叫ばれ、シリコン端子を使った半導体技術によって、人びとはわざわざ工場に通勤しなくとも家庭で効率的に仕事が進められるようになっている社会において、工場は今後もかけがえのない生産の場として存続していくことになるのだろうか。エネルギーの節減、あるいは婦人労働力が、未来の組織にどのような影響を与えることになるのかについて、一体だれが明確に理解しているだろうか。ひとつだけ、われわれにとって明らかなことは、著者も述べているように、将来の姿がどうなるにしても、現存する仮説によっては将来は予測できないという点である。彼も主張しているように、われわれは非連続的変化の時代に突入しており、現在、われわれが社会全体として、または個別の組織内において活用している既存の仮説が、もはや必ずしも真実とはいえなくなってきている。著者は、滅びゆく運命にある3つの仮説(効率を左右する条件、労働の意味、組織の階層構造の価値)を提示し、さらに新しく発生してくる仮説とはどんなものかについて、いくつかの手掛りを与えてくれている。新しい仮説が実際
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