サブスクリプション事業が伸び悩むなか、パブリッシャー各社は既存購読者の維持が新規購読者の獲得と同じくらい重要であることに気づきはじめている。
しかしながら読者開拓の担当者たちが、長期的に購読してくれる新規の有料読者を獲得したいことは間違いない。その実現に向けて、必要かつ適切な戦略を見出すことが、いまや彼らの最重要課題となっている。
「パブリッシャーにとって、購読者の維持や定着、いわゆるリテンションはかつてないほど優先順位の高い課題だ」と、アトランティック(The Atlantic)で最高事業成長責任者を務めるメガ・ガリバルディ氏は話す。「リテンションと新規獲得の優先順位を比較すると、この2つはほぼ拮抗するが、糸がからみ合うように密接に関わり合ってもいる」。
新規獲得とリテンションの戦略は必ずしも同じではない
有料トライアル(最初の1ヶ月または1年限定で割引価格を提案するなど)は、無料の読者を有料登録させるには有効だ。しかしその反面、ピアノベンチマークス(Piano Benchmarks)報告書の2020年から2023年の分析を見る限り、正規料金で購読を始めた読者は、ほかの購読者よりも長い期間購読を継続する傾向が強いことがわかった。
そのため、新規獲得とリテンションを合わせた完璧な戦略を設計することは、期待するほど単純明快ではないようだ。そもそも、リテンション
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