今年もまたヒグマの目撃情報が相次いでいる。
札幌市をはじめ、室蘭市、函館市、そして、先日ついに獲殺された「oso18」で知られる標茶町など、全道にわたり、また人的被害も、5月14日に幌加内町朱鞠内湖で釣り人の男性が襲われ、身体の一部が発見される重大事故が起きた。
北海道のまとめによれば、近年のヒグマによる人身事故は令和3年が突出して多く、死者4名、負傷者10名を出した。
その中でも6月18日に発生した、札幌市東区の住宅街にヒグマが迷い込み、市民ら4人が襲われ重軽傷を負った事件は記憶に新しい。
他の市町村でも、住宅街に近いエリアにヒグマが出没するケースが増えている。
人間を怖れなくなったヒグマの個体が増加傾向にあることは疑いがない。
開拓時代の北海道でも、夏祭りの帰り道の群衆にヒグマが襲いかかり、死者四名、負傷者四名を出すという恐るべき人喰い熊事件があった。かの「苫前三毛別事件」「札幌丘珠事件」と並んで、戦前の「三大事件」のひとつとして知られる「沼田幌新事件」である。大正十二年八月二十一日深夜、雨竜郡沼田村字幌新地区の祭りの帰り道をそぞろ歩いている二十人ほどの村人にヒグマが襲いかかり、太刀別御料地農家、林謙三郎(十九)が負傷、村田三太郎(五十八)の八男、幸次郎(十四)が死亡、七男、與四郎(十五)が瀕死の重傷、三太郎も重傷を負った。人々は付近の農家、持地音松宅に逃げ込ん
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