仮説を持たずに現場に飛び込め!「ビジネス人類学」で見えてくる新しい景色
多様な価値観が広がる現代。企業も社会における自社の存在意義を明確に打ち出すことが重視されるようになっています。そんな中、本連載でも紹介してきたように、企業理念の形成や研修に「哲学対話」を取り入れる企業が出てくるなど「人文知からの学び」が注目を集めています。
今回のテーマは、文化人類学の社会実装。新規事業開発や組織変革におけるフィールドワークなど、近年、ビジネスのさまざまな領域において、文化人類学的なアプローチが広がりを見せています。
そこから一体、何が見えてくるのか?電通コーポレートトランスフォーメーション部の中町直太氏が、「文化人類学の手法を応用した行動観察カンパニー」である、アイデアファンドの代表取締役・大川内直子氏にお話を伺います。
今、「文化人類学者の目」が求められる理由
中町:大川内さんは、文化人類学の知見を企業へのコンサルティングに生かしていますが、文化人類学とはどのような学問か、電通報の読者に改めて教えていただけますでしょうか?
大川内:一言でいうと、「人間とは何か?」を探る学問です。文化人類学は19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパの大学にポストが設けられ、一つの学問領域として確立していきました。当時は西洋の学者がアフリカやアマゾンなどのいわゆる「未開」と呼ばれた地域の調査をしていました。現地の人と一緒に暮ら
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