2022年11月9日
インフレ抑制法の一環で米国が導入するBEV優遇策の見直しを日本政府が要求している。すそ野の広い日本の自動車産業の競争力に直結する問題だけに当然の措置だろう。インフレ抑制法は財政赤字の削減やクリーンエネルギーの促進を通してインフレを抑制することを狙った法律である。BEVとその中核部品である電池は助成対象となるが、当然ながら条件が付く。車両は米国で組み立てられなければならないうえ、電池の原料となる鉱物の一定比率以上が米国ないし同国とのFTA締結国で抽出・加工されなければならない。電池部品も一定比率以上が北米で生産されていなければ税控除を受けることができない。狙いは3つある。まずは、「ラストベルト」という言葉に象徴される衰退した製造業の復活である。将来性の高いBEV分野のバリューチェーンを国内に構築できれば、雇用を拡大できる。社会の分断という米国が抱える深刻な問題の解決にも寄与する。当然ながらバイデン政権が重視する経済の脱炭素化にもつながる。経済、政治、軍事面で覇権国家化を目指す中国に対抗することも重要な狙いだ。インフレ抑制法には電池のバリューチェーンに「懸念される国」の企業が含まれる場合は助成対象とならないという安全保障上の規定が含まれている。懸念される国は明記されていないが主に中国が対象であることは言わずもがなであろう。今夏に成立したこの法律を見て、日本の自動車業界と政府が唖然とした
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