【"will" vol.3 「ものの道理」】
我が家は専業農家で、耕作地の約半分は水田です。先週末も家族総出で田植えをしてきました。水面の照り返しで日には焼けるし、田植え機に乗っている時以外はずっと歩きにくい泥の中で中腰になっているので、足腰は痛い。僕らはなりわいだからやりますけど、こんなのわざわざ遠くまで体験しにいくひとの気が知れません笑。 ところで、農林水産省の実施する「営農類型別経営統計」による令和3年の稲作農家の作物収入は「239万円」、営農所得は「1万円」です。もちろんこれは平均の話ですが、いくら主食のコメがあるからといっても1万円では生活できませんから、給与所得や不動産所得、公的年金といった農外収入で生計を立てているのが「現実」です。最近ではコロナ禍では外食産業の落ち込みが激しく、コメの流通にも大きな影響がありました。お上は飼料米などを含め高付加価値作物への転作を推奨します。テレビのコメンテーターは「食べるひとのいないコメを作る必要があるのか」と言います。食生活はますます多様化し、おまけに「糖質制限」などといわれると、コメは真っ先に悪者扱いされたりします。そんな厳しい状況の中で八十八もの手間が掛かるという稲作など、誰が好き好んでやるというのでしょう。うちの田んぼの隣は農業を営んでいたおじさんが亡くなり、勤め人の息子さんは自家消費米すら作るのをやめてしまい、もう何年も前から作付けされていません。草ぼうぼうの「元田ん
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