ついにというか、ようやくというべきなのか、地元の有力紙である西日本新聞が、工藤會に関する書籍『工藤会の落日』を刊行した。
本書は、市民、行政、司法、離脱者に対する丹念な取材に基づき、工藤會の落日を俯瞰した一冊といえる。本書の特徴は、筆者のような個人が書いた本とは異なり、新聞記者という客観的な立場で、かつ工藤會に関する長期的なスパンで為された取材に基づいて書かれていることだ。
かつては「修羅の国」と呼ばれた北九州、川筋といわれる遠賀川流域の歴史から、工藤會の歴史、様々な事件記録、そして、頂上作戦から法廷での全面対決と、まさに工藤會の隆盛から落日までを俯瞰できる内容である。
ネタバレになるので、本書の内容には触れず、筆者がかつて取材や記録を読んだ範囲で、工藤會の歴史を簡単に紹介する(廣末登 『ヤクザの幹部を辞めて、うどん店はじめました――極道歴30年中本サンのカタギ修行奮闘記』新潮社より抜粋)。
本記事を一読されて『落日の工藤会』を読まれると、北九州における暴力団広域化の影響、抗争の歴史や工藤會の変遷について、より理解が深まると思い、筆を執った次第である。
なお、本稿では、敬称を略させて頂くこと、予めお断りさせて頂く。
Source: 現代ビジネス
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