高まるディスインフレ圧力
金融不安が市場に旋風を巻き起こしている。ただ、現状は未だ金融不安であり、「金融システム不安」に至っていない点は区別すべきだろう。金融システム不安とは銀行間で「あいつもこいつも危ないかもしれない」という疑心暗鬼が広まること、具体的には銀行間の膨大かつ超短期の資金のやり取りが疑心暗鬼からスタックすることである(あいつに貸しても返ってこないかもしれないと相互に牽制しあう)。この場合は中銀が全面的な流動性支援に乗り出すことでしか事態は解決せず、放置すれば銀行は日次で潰れていく。現時点のように「こいつだけが危ない」とリスクが隔離されている(と認識されている)うちは金融システムは依然として機能し、潰れた銀行を補完する形で新たな貸し手が無限に現れる。金融不安だけならば、経済は通常のリセッションパターンに進み、金融システム不安の場合は恐慌まで突き進む。その場合は株価より自分の解雇や会社の倒産や治安の悪化を気にしなくてはいけない世界が来る。なお、先週はFRBによる流動性供給が急増したことが話題となったが、流動性供給のような銀行間システムへの対症療法的な行動と、QEのようにそれ自体で経済活動を引き上げる試みは分けて考えるべきである(図表)。システム不安が懸念される状況で流動性を注入しても、景気を浮揚させることも、ましてやインフレ期待を引き上げることはない。水分不足で死にそうな人間に水を飲ませることと、
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