【1-2】経済の心肺機能を担う「緑のベーシック・サービス構想」
【財政支出の意義】 財政運営の基本的な考え方として、最近、現代貨幣理論(MMT)が注目を浴びています。一見して、気前のよいバラマキという印象を受ける、このMMTを大雑把に要約すると、以下のようになります。 通貨の発行体である政府の責務は、仕事を求める人々に国家のために必要な仕事を与え、その対価である報酬を支出し通貨を世に送り出すこと、富の集中や環境汚染などの有害な行動を抑制するために納税義務を課すこと、過剰なマネーが過小なモノに殺到するインフレという問題を引き起こさないように課税を通じて調整するとともに、通貨への需要を生み出すこと、となります。 ケルトン氏は、著書「財政赤字の神話(早川書房2020)」の中で、次のようなエピソードを披露した上で、均衡財政に固執する考え方を一蹴しています。・合衆国連邦議会で教育や医療への支出を増やそうと提案するたびに、政府の赤字を増やさずにどうやってそれを「まかなう」のだという反論が山のように出てくるが、防衛費の拡大、銀行の救済、あるいは富裕層への減税が議論されるときには、たとえそれが財政赤字を大幅に増やすものであっても問題になることは一度もない。議会が何かを本当にやりたいと思えば、資金は必ず手当てできる。財政支出するか、しないかは政治判断だ。・金融危機の後、納税者のお金が銀行救済に使われているという批判に対して、連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バ
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