「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」とは、借金を取りに来た時に、檀一雄に太宰が発した台詞だ。激怒した檀一雄をして、「あれを読む度に、文学に携わるはしくれの身の幸福を思うわけである。憤怒も、悔恨も、汚辱も清められ、軟らかい香気がふわりと私の醜い心の周辺を被覆するならわしだ」と言わしめた太宰の力量には感嘆するばかりだ。
心中、盗作、遊蕩……。自己破滅的な生涯と『斜陽』『津軽』『人間失格』など、読者を魅了する作品を遺した作家の魅力の源泉に迫ります。
この記事は、『失格でもいいじゃないの 太宰治の罪と愛』を再構成しています。
Source: 現代ビジネス
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