シャープミュージアムにみるドラマとガイドの神髄
企業ミュージアムには“ドラマ”がなくてはならない。かつてシャープミュージアムに来館したアメリカのスミソニアン博物館の教授はそう語った。製品を並べ、企業の歴史をパネルで展示するだけでは、魅力が伝わりづらい。ドラマは成功事例だけではない。幾多の苦難もあるから人を引きつける。今回は、シャープミュージアムで“ドラマ”を伝え続けるガイドの存在とその役割について考察したい。
取材と文:岡内礼奈(電通PRコンサルティング)
シャープミュージアムの外観(写真提供:シャープ株式会社)
奈良県・天理駅からバスまたはタクシーで15分。約7万坪の広大な「シャープ総合開発センター」の中に、シャープミュージアムは位置している。来館者からは「存在が地味」「こんなところにミュージアムがあるとは知らなかった」といった反応が示される、いわば知る人ぞ知る企業ミュージアム。しかし、館内をひとたび巡れば、「ためになった」「面白かった」「次は家族を連れて来たい」など好意的な感想が相次ぐ。このミュージアムの魅力はどういったところにあるのだろうか。
シャープミュージアムの概要
このミュージアムの成り立ちは1980年にまでさかのぼる。創業者早川徳次(1893〜1980、文中敬称略)の逝去を悼み、功績を後世に伝えるため、1981
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