機械学習・深層学習
機械学習・深層学習が大流行である。ファイナンス分野でもこれらの最新の技術を使って研究をしようということで、その手の論文を目にすることが増えてきた。それ以上に多いのはコンピューターサイエンスや統計学の専攻で機械学習を勉強したいという学生の数である。最近、リサーチ・アシスタントを募集したのだけど、プロジェクトのタイトルに「ファイナンスのデータ分析」という名前を付けたために、当初想定していたファイナンス専攻の学生よりも統計学の専攻の学生が多く応募してきた。なんにしても新しいことに興味を持つのは結構なことである。それにしても、機械学習・深層学習はファイナンスを含む社会科学全般の発展に役立つのだろうか。なぜなら、社会学、特に経済学は人間の行動が引き起こす複雑怪奇な事象をわかりやすく、単純化した数式で把握することにこれまで重点を置いてきたからである。資産価格決定理論(CAPM)などがその最たる例だけど、とにかく単純であればあるほど美しく、深い洞察を得ることができると考えられている。逆に、100本以上の方程式を使った大規模なモデルで経済のあらゆる側面をとらえようとする試みには、少なくとも自分の大学院時代の指導教官たちは非常に懐疑的であった。仮に、100本の方程式で企業活動・家計行動・金融市場の全ての経済データにフィットできたとしても、結局方程式のどの変数を動かすとどこがどう反応するのか、モデルの
コメント