価値に注目する
事業構想において必要不可欠な要素が「価値」です。経営学の書籍やビジネス書でも登場する概念ですが,ビジネスにおいて価値の創出や提供は重要なテーマです。他方,価値の扱いはとても難しいと感じています。時には「価値がないことに価値がある」といった言説もあり,非常に主観的な概念であると同時に,多元的であることにも注意が必要です。IT業界で仕事をしていた頃,資格取得のためにITILの研修会に参加しました。そこで聞いた「価値に注目する」という言葉が今でも印象に残っています。商品・サービスの提供者側にとっての価値は,必ずしも顧客にとっての価値ではないということを学びました。顧客にとっての価値に注目し,そこから逆算して商品・サービスを設計して運用する。このような考えは至極当然のようで,実際には機能していないことも多いようです。顧客の価値を重視する姿勢は,顧客の要求事項を満たして安易に迎合するという意味ではありません。むしろ,ニーズの有無にかかわらず,顧客にとっての価値が低いと判断される場合は商品・サービスの提供を中止することもあります。ピーター・ドラッカーのいう「体系的廃棄」は,陳腐化したものを手放して機会や価値の高いものにリソースを割くことを奨励しています。こうして,新たな価値の創造を図るわけですね。ところで,顧客の価値には顕在的なものと潜在的なものがあります。前者は,リサーチ等の手法で捉えること
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