生活支援サービスと株式制度の不整合○これからの日本の社会経済制度の維持可能性という観点から重要なのは、生活支援サービスを提供する事業主体の在り方である。米国のチャンドラーが「組織は戦略に従う」という経営学・経済学上の極めて重要な命題を提出しているが、生活支援サービスを提供する事業体にふさわしい組織形態とは何かということを改めて検討していくことが望ましい。○サービス提供に事務所が少なくとも1つ必要かもしれないとは言え、生活支援サービスでは、必ずしも巨額の固定設備を本質的に必要とせず、かつ、サービス提供の現場における多様性が求められる。そのような性質の「ビジネス」には、現在の株式会社(資本集中型の営利法人)という仕組みが適当ではないと考えられる。○そもそも株式会社とは、19世紀後半にその有効性が認められて普及した比較的新しい仕組みであり、巨額の固定設備投資を賄うため、多数者から資金を集めるべく、配当収入の分配を受ける権利を、一括化・規格化して分かりやすくした仕組みであるというのが、歴史的な理解である。○とすると、巨額の設備投資を必要としない生活支援サービスについては、株式会社によるサービス提供というのは、チャンドラーのいう「戦略」と「組織」の適合性が確保されないのではないかという懸念を生じさせる。その一例が、介護における大手株式会社の撤退なのである。続きをみる
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