語ることのできないものについては、沈黙しなければならない――
神秘的なこの言葉で、多くの哲学好きを魅了した『論理哲学論考』。しかし、われわれは、その真に意味するところを理解できているのか? 20世紀以降の哲学に衝撃を与えたウィトゲンシュタイン。そんな彼の思想は哲学に何をもたらしたのか? そんな疑問に答えてくれるのが、『ウィトゲンシュタインと言語の限界』だ。
フランスで初めてウィトゲンシュタインについて論じた希代の哲学史家ピエール・アドが、言語批判や言語ゲームといったウィトゲンシュタイン哲学の核心、そして「言語の限界」の内実に迫っている。ウィトゲンシュタインは、「死」や「神秘的なもの」についてどのように考えていたのだろうか。『ウィトゲンシュタインと言語の限界』からの孫引きとなるが、『論理哲学論考』末尾に向かってたたみかけられる重要な命題群を、まずはいくつか追ってみよう。
(※本稿はピエール・アド『ウィトゲンシュタインと言語の限界』(合田 正人訳)を一部再編集の上、紹介しています)
Source: 現代ビジネス
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