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回想のブランディング—10

ベイスターズのQIの実績はなによりもまして日本市場におけるインターブランド社の名前を知らしめるのに大いに役立った。しかし、それだからといって以前にもまして仕事がとれたかというと、正直なところまったくなかった。たとえば他の球団からオファーがあったかというとまったくなかった。そのうえ、1993年は5位、94年はなんと最下位であった。その結果はわれわれの新たなセールストークにならなかった。 導入してから6年後の98年横浜ベイスターズは日本一になる。宿願ともいえる優勝である。その理由について私が語るとそれだけで片手落ちになってしまうので語りたくないが一つだけ語ろうとすれば「ベイスターズの強さの背景には球団の経営の改善があった」とどこかのビジネス雑誌が指摘してくれていたことだけを伝えておこう、これだけで十分である。ベイスターズの仕事の大半は1992年が終わるとともに終わりつつあった。開幕まで3ヶ月はあったがメインの仕事はデザインマニュアルの制作やさまざまな制作物のデザインチェックなどだけである。そんなときに親会社の大洋漁業のCIの相談をうけたのだ。ベイスターズで十分、実力を認めてもらっているはずである。これもものにできる、と勇んだ。ところが話だけでいっこうに依頼がこない、社名も変更したいらしい。このプロジェクトができるのはわが社しかない。と別に驕ったわけではないが正直にそうおもった。一番、至

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