まぐれ|2022-05-22
今日は、うでパスタが書きます。ナシム・ニコラス・タレブとエマニュエル・トッドという「はぐれもの」の著作を過去に遡って読んでいます。タレブは数々の投資銀行でクオンツとして実績を残しながら、稼ぐほどに働く気をなくし、そもそも自分は不確実性について哲学的な思索をめぐらせる思想家であるという自己定義にたどりついた挙げ句、「まぐれ」という著作でウォール街にカルト的な旋風を巻き起こしたあと、「ブラック・スワン」でリーマンショックというかフレディマックやファニーメイという政府系住宅抵当機関の破綻をかなり直接的に予言したことで時代の寵児となった人物です。タレブはマイロン・ショールズというノーベル賞経済学者のことを「引退して数独でもやっているべきだ」と批難したことで名を挙げたようですが、しかしそもそもタレブが言っているようにショールズは例のLTCMを含めてふたつもファンドを破綻させている一方、タレブにはトレーダーとしての実績があるわけですので、少なくとも「理論が整合しているか」ではなく「マーケットで役に立つか」という意味において考えるならば、ショールズがいかにタレブの批判を無効化しようとしても、「ではおまえの理論は何の役に立つのか」という反問をかわすことは難しく、そもそもこのあたりにタレブの「ノーベル経済学賞は社会に害をなしており、廃止すべき」という主張の根幹があるのは充分に理解の出来るところです。
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