脱炭素社会の実現に欠かせない「ポジティブなコミュニケーション」とは?
今回は、国立環境研究所の江守正多氏にインタビューしました。気象学者である江守氏は現在、気候変動対策について社会学者などと共同研究しながら、社会の大転換の必要性を説いています。カーボンニュートラルの実現を目指し、日本や世界はどう変わっていかなければならないのか。日本と海外における意識の違いや、気候変動問題に取り組む企業から一般の生活者に対するコミュニケーションのアイデアなどをお聞きしました。
気候変動対策をビジネスチャンスと捉える
──2021年4月時点で、日本を含む120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組んでいます。気候変動対策への意識は、日本と世界で違いがあるのでしょうか?
江守:世界では日本よりも気候変動対策を「ビジネスチャンス」と前向きに捉えているように感じます。特にさまざまな産業で市場が飽和気味の先進国では、気候変動対策ほど需要が拡大するものはないと考えられています。さらにヨーロッパなどでは、ビジネスチャンスであると同時に人類の運命に関わる問題だと捉える人が多い印象もありますね。このように実利と倫理的な理由がマッチしているからこそ、取り組みがスピーディに進むのではないかと感じています。
日本でも、脱炭素に取り組まなければ投資が受けられないなど少しずつ状況が
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