京都大学は3月25日、京都大学大学院工学研究科の金子光顕助教、木本恒暢教授らによる研究グループが、独自構造のトランジスターを搭載したSiC(シリコンカーバイド)半導体を開発し、シリコン(Si)半導体では不可能な摂氏350度という高温での基本動作の実証に成功したと発表した。
現在広く使われているシリコンベースの半導体は、動作可能温度の上限が摂氏250度とされている。しかし、地下資源採掘や宇宙開発の現場では、それより高い温度での動作を求められる。シリコンよりも高温での動作が可能なSiC半導体の研究は進められているが、集積回路の基本要素であるトランジスターの高温での信頼性や電力消費量が大きな課題となっていた。
集積回路で一般的に使われているトランジスターはMOSFET(金属酸化膜半導体電解効果トランジスター)と呼ばれるタイプのもので、添加する不純物によってn型とp型と2種類に分かれる。この2つ組み合わせた相補型という集積回路が、待機電力をほぼ0にできるため広く普及した。SiC上にもMOSFETを作ることはできるが、酸化膜とSiCとの間の接合界面に欠陥が多く発生(Siの場合の100倍以上)するために高温での安定動作ができなくなる。これとは別に、JFET(接合型電界効果トランジスター)というトランジスターも作れる。こちらは界面欠陥がないため高温動作が可能なのだが、相補型回路の構成が不可能で、
コメント