AIロボットが何をつかんだかを判別可能に―九州工業大学、マテリアルベースのリザバー演算素子を開発
九州工業大学は1月6日、ロボットアームのハンド部分から得られる感触信号から、ロボットが何をつかんだかを判別(把持物体認識)することに成功したと発表した。把持物体認識には、人工ニューラルネットワークの一種であるリザバー演算(RC)が使われるが、九州工業大学は、そのリザバー演算を、「単層カーボンナノチューブとポルフィリン、ポリオキソメタレートの複合体」(SWNT/Por-POM)からなる素子で行わせるという、画期的なアプローチをとった。
人間の脳を人工的に模倣するには、ランダムに接続されたニューロンとシナプスの動的な貯蔵庫(リザバー)を模倣する必要があり、それを実現したのが人工ニューラルネットワーク(ANN)だ。その一種であるリザバー演算は、貯蔵庫内での信号のランダムなフィードバックを忠実に再現して時系列データの学習を可能にしており、深層ニューラルネットワークに比べて、効率的・高速・シンプルで、生物の脳の仕組みに近い機械学習アーキテクチャーとされている。
ところが、リザバー演算を既存コンピューター上でソフトウェアだけで行うことは技術的に難しく、ハードウェアからアプローチするパラダイムシフトが不可欠とされる。そこで、ソフトウェアと並行して物理的な挙動を演算ツールとして用いる「物理リザバー」が研究されている。なかでも九州工業大学の手法は、物理的挙動を示すマテリアル自身に演算を担わせる「
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