第6期「科学技術・イノベーション基本計画」の中で使われた社会的課題の解決に向けた社会変革型トランスフォーマティブ・イノベーション

現在、地球温暖化や海洋汚染などの地球規模課題への対応、災害や感染症などの危機に対するレジリエントな社会の構築、高齢化社会への対応などの諸課題の解決に向けて、社会経済システムそのものの変革（トランスフォーメーション）が求められています。そこにおいては、経済的価値だけでなく、社会を構成する多様な人々の幸福（Well-being）の実現といったことも求められるようになっています。またこれと平行してイノベーションにおける、企業やユーザー、市民の役割が益々重要になり、政府以外の多様な関係者（ステークホルダー）の活動や資金との連携と、それによる多様な価値の創出（共創）につながるようなイノベーションエコシステムの構築が必要となっています。これらの社会的要請の変化、社会経済システムの変化は、情報通信技術（ICT）の発展に伴うデジタルトランスフォーメーション（DX）によって加速しています。このような様々な変化を受けて、社会的課題の解決に向けた社会変革型イノベーション（トランスフォーマティブ・イノベーション）の必要性が高まっているのです。では、なぜ近年、そのような意味でのトランスフォーマティブ・イノベーションが政策論議の中で注目されるようになったのでしょうか。これは重要なポイントです。社会システムを変革するということ自体は、イノベーションの目的にはなり得ません。社会システムの変革というものは、それをも

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