先日行われた衆議院総選挙では「分配」の面に注目が集まった。自民党も立憲民主党で「成長と分配のいずれが先か」という点では違いがあったものの、分配面が注目されたことは共通している。また、選挙を経て本格的にスタートした岸田政権でも「成長と分配の好循環」を掲げて、数十兆円規模の経済対策が打ち出されている。 ここでは、「分配」と「再分配」を比較することで、これから進められる「分配」政策の特徴に接近してみることにしたい。 「分配」という言葉で多く使われているのは、例えば、経済活動によって生み出される付加価値を企業と労働にどう帰属させるか、つまり「労働分配率」である。あるいは、労働者に分配される賃金でも高所得者と低所得者があり、これは賃金の分配問題である。若手職員とベテラン職員、正規と非正規職員、男女、大企業と中小企業、大都市と地方などで格差が生じる。 こうした分配面に切り込む政策として、岸田政権では賃金を増やした企業への法人減税が行われることになり、また男女雇用機会均等や同一労働同一賃金など実施中のものもある。したがって、分配に配慮した政策が行われていて、それが重要であることは間違いない。 ただし、これらは市場で分配を決める際に、政府の力で変更を加えるものだ。規制による強制的なものや税制による誘導的なものもあるが、いずれも市場での分配に入り込む政策である。続きをみる
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