梅への愛、が止まらない
「オリジナリティ」を持つ"元気な会社"のヒミツを、電通「カンパニーデザイン」チームが探りにゆく本連載。第12回は、創業約100年の梅干し屋さん「紀州ほそ川」の、驚くべきサバイバル術に迫ります。
少し年下の細川社長とは、学生時代からの友人だ。彼の留学のちょっとした助言をし、帰国後は就活の助言もちょっとだけした。大手アパレル会社からキャリアを始めた彼は、数年の勤務の後、和歌山で家業を継ぎ、“新人経営者”になった。それからも上京した折に途切れることなく会ってきたが、毎回、土産のように持ってきてくれる仕事の話にはいつも引き込まれた。経営理論より現場、定石より直感で動く彼は、同業者の誰もが生産過程で捨ててしまうものから作り出した商品で、新事業を軌道に乗せてしまった。
働きたい育児中の女性向けの求人では「完全在宅勤務可」とし(実際には「出社可」と書いていた)、周囲を驚かせた。世の中にコロナのコの字もない、2014年のことだ。新規事業開発、サーキュラーエコノミー、働き方改革、地方創生……。今、多くのビジネスパーソンが向き合う課題を、いつの間にか解決してしまっている彼のモノの見方には、きっとわれわれが知っておくべきヒミツがあるはずだ。そんな思いから、今回、取材を依頼した。
文責:薬師寺肇(電通BX
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