千葉大学の石山智明准教授を中心とする国際研究グループは9月10日、国立天文台のスーパーコンピューター「アテルイII」を使った世界最大規模のダークマター構造形成シミュレーションに成功し、おおそ100TB(テラバイト)のシミュレーションデータを公開した。
国立天文台では、すばる望遠鏡などを用いた大規模な天体サーベイ観察(特定の天体ではなく宇宙の広い範囲を観測するもの)を行っているが、その観測結果から情報を引き出して検証するためには、銀河や活動銀河核の巨大な模擬カタログが必要になるという。模擬カタログとは、理論的な枠組みで構築された銀河や活動銀河核などの天体のさまざまな計算上の情報を含むデータセットで、実際の観測データと比較することで、観測結果から数多くの情報を引き出すことができるというもの。今回公開されたデータは、その基礎データとなるもので、宇宙の大規模構造と銀河形成の解明に向けた研究に役立てられるとのこと。
この研究の目的は、宇宙の大規模構造の形成という天文学上の大きな謎の解明に関わるもの。そのためには、大規模天体サーベイ観測から情報を引き出すのに必要な巨大な模擬カタログの構築と、その土台となる大規模の構造形成シミュレーションを実現する必要がある。宇宙の構造形成には、ダークマターと呼ばれる目に見えない物質が大きく関わっており、その働きをシミュレートするには、宇宙初期の微小なダークマタ
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