EU「包括的な気候変動対策案」発表
EUは7月14日「包括的な気候変動対策案」案を発表した。脱炭素の取り組みが不十分な国からの輸入品などに対し、事実上の関税を課す「炭素国境調整措置」を2023年から暫定的に運用するというもの。実行にはEU加盟国や欧州議会の承認が必要だが、どう備えておくべきであろうか。「炭素国境調整措置」(Carbon Boarder Tax: CBT)は、Carbon Pricing等の詳細や加盟各国の承認手続き、WTOとの整合性、欧州の貿易相手であるロシア、中国、米国等の反発や対抗措置導入の可能性など、導入をめぐる情勢には流動的な要素は大きい。しかし、地球温暖化対策を重要政策に掲げるEU首脳のアジェンダはゆるぎなく、アフターコロナの経済再生政策の目玉とする意図もあって、CBTの動きは何らかの形で実現に向けた動きが進むと思われる。現時点で戦略的に備えておくべきことを幾つかあげよう。まず本件の基本点として、自社製品の単位あたりの炭素排出量を、欧州の競合企業と比較可能な水準で正確に計測する手法を導入し、炭素コストを把握しておくことは重要である。また、それに基づき、CBT導入時の損益影響をバーチャルに把握する、いわば仮想管理会計を作成して、影響を予測しておくことである。そして次に、仮想管理会計に基づいて把握した経営インパクトを減らすための対応施策を検討することも重要だ。製造工程の抜本的見直し、サプライチェ
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