エブリデイグループ相談役 (51)
海野は、ひまわり園への転職と同時に、新しい仕事を得た。それは、市の環境セミナーで一緒になった小売流通企業の創業者である星崎雄二の会社を月に2回訪問して、星崎の話を聞く仕事だった。星崎は、70歳になったのを機に、社長を息子に譲ったということだった。星崎には息子が、3人いて、2人がグループ内で働いているということだった。海野には、星崎の息子との面識はなく、誰が社長なのかは分からなかった。星崎は社長の席を息子に譲り会長となっていたが、また20代の海野と比べても活力がみなぎっているという印象が強かった。実質的には、星崎がエブリデイグループの主導権を引き続き持っているようだった。 エブリデイグループは、星崎の父親が始めた八百屋が母体になって生まれた企業だ。低価格競争が進む中で、星崎の父親は農家との直接契約によって新鮮で質の良い野菜の取り扱いにこだわり、地域の消費者から支持されてきたようだった。野菜専門の八百屋の業態に疑問を持った星崎が、八百屋を手伝うようになってから、新たな取り組みが始まったのだという。星崎は、肉や魚などの生鮮食品と雑貨を扱う小売店を開き、エブリデイグループの基盤を作っていった。衣料品や家電製品も扱うようになり、多店舗展開を始めて、営業地域を徐々に拡大していった。10年程前に星崎の息子達がグループに加わり、最近は、インターネットを通した通信販売事業などを伸ばしているというこ
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