心理学とビジネスの視点から考える 超高齢社会の課題解決に必要なこととは?
3回にわたり超高齢社会の課題をビジネスの視点から解決することの意義や重要性、その手法についてひもといてきた当連載。今回は臨床心理士で老年心理学の専門家・黒川由紀子先生と電通シニアプロジェクト代表の斉藤徹氏がそれぞれの立場から意見を交わします。
高齢者の声とビジネス視点をインタラクティブな関係に
斉藤:先生とのお付き合いは、初対面の際に頂いた『いちばん未来のアイデアブック』を拝読し、大変感銘を受けてからのことです。2016年のことでした。あの本をつくられた背景はどんなものでしたか?
黒川:私がシニアに関心を持ち始めた数十年前は、高齢者は心理学の対象ではないとされ、世間から見向きもされていませんでした。社会の高齢化とともにシニア層が注目されるようになり、昨今は政策やビジネスの視点から相談を頂くことが増えました。
しかし、多くの人は高齢者の実態をよく知らず、あまり触れたこともない。何より「当事者である高齢者の声が聞かれていない!」ということに危惧を覚え、出版に至りました。
斉藤:よく知らないまま、ステレオタイプの高齢者像が先行している場合は多いですね。
黒川:私が開いているシニアの方の歌の会では、少し前まで軍歌や昭和以前の歌謡曲がリクエストの中心でしたが、今はシャンソンやビートルズの曲が飛び交っています。世代によってニーズが変わるた
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