生きた仕組みこそ、現場と経営の大動脈に
ビジネス誌『プレジデント』元編集長、現在はプレジデント社の社長・長坂嘉昭さんとの対談により、大企業のトップを長年にわたり眺め続けている彼の目からも、「今、現場社員に焦点を当てる」ことの重要性を確認したCDC・武藤新二。では、アカデミックな視点からは、どのような見解を伺うことができるでしょうか。武藤が続いて訪ねたのは、早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授の入山章栄さん。
長坂社長との対談記事は、こちら。
トップは現場で「知の探索」を。
「仕組み」づくりの好手・悪手
武藤:三菱総合研究所でメーカーや政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、博士号を取得し10年以上にわたり経営学の研究を行っている入山先生。今、元気のいい企業に共通点はありますか?
入山:うまくいっている企業のトップは、必ずといっていいほど現場を歩いていますね。ボトムアップが大切であることはもちろんですが、結局トップの意思があるからこそボトムアップが実現する。トップが現場を知った上で、社員が生き生きと働ける仕組みをつくり、情報を吸い上げられる体制を築いています。経営学ではイノベーションは「既存の知と別の既存の知の新しい組み合わせ」で生まれるとされていますが、人間の認知力には限界があるため、トップは「知の探索」、つまり意識的に遠くのものと出合う努力が非常に重要。
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