ほとんどの人はテレビを買ったあと設定をいちいち調整したりしない。
一方、最近のほとんどのテレビは、山ほどの余計な機能がデフォルトでオンになっている。壮大な名作映画をメロドラマのように変えてしまう「モーション・スムージング」や、ディテールを消して俳優の肌をサイボーグっぽくする「ノイズリダクション」などだ。これらは、店頭に置かれたテレビが人目を引きやすくする効果がある。デモビデオに出てくる蝶の羽がやたらスムーズに動くところを見てほしい。
映画製作者や番組クリエイターたちは概してこの手の処理が嫌いだ。何百時間もかけてフレーム単位で微調整したディテールを機械的にぶち壊してしまうからだ。しかし、ややこしい項目名(ブランディングのせいでメーカーごとに違うことも多い)に隠れた山ほどの設定を理解して、何十回もボタンを押すことを視聴者に強いるのは困難だ。
それが「フィルムメーカーモード」が作られた原動力だ。ワンボタンでいまいましい設定が全部オフになる。
これは、ドルビー、パナソニック、サムスン、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースなど大企業40社からなるUHDアライアンスによる取組みで、マーティン・スコセッシ氏、パティ・ジェンキンス氏、ライアン・クーグラー氏、ライアン・ジョンソン氏、クリストファー・ノーラン氏などの著名な映画関係者の意見を取り入れたものだと言っている。
フィルムメーカーモードをオンにす
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