① 本稿の趣旨
前々回に続き前回の寄稿も好評を得たようなので、今回も引き続き一連の半導体材料の輸出管理見直しに関する分析記事を書かせていただこうと思う。
今回は随所で報じられている「サムスンが中国産のフッ化水素のテストを始めた」というニュースの背景について考察したい。
サムスンNewsroomより:編集部
本件については、特に今回の輸出管理見直しに関して疑問を持つ立場の方から、「ほら見たことか、韓国企業が代替材料を探し始めたじゃないか。だから言わんこっちゃない」というような趣旨の反応が多いように思えるが、仮に中国産の純度の落ちるフッ化水素をラインに使おうものなら工場の歩留まり(製造量に対する定格合格品の比率)は大幅に落ちざるを得なく、企業経営としてはかなりのマイナスになる。少し待てば日本から個別輸出許可が降りてフッ化水素が入ってくる見込みが十分あるのだから、本来現段階でそれほど無理をする必要はない。
それにも関わらずサムスンがフッ化水素を中国から調達した背景には、もう少し複雑な事情があるので、その事情について概観していくこととする。
② 行方不明のフッ化水素についての論点整理
まずはフッ化水素に関する論点整理から入りたい。
大前提として問題の発端を確認すると、プライムニュースの小野寺五典元防衛大臣の発言で、この番組で小野寺議員は
「韓国にフッ化水素100を渡しても、工業製品に使うこ
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