6月26日東京地裁において、ある注目の裁判についての判決が下った。
植村隆氏が、名誉を毀損されたとして週刊文春と西岡力氏(麗澤大学客員教授)を訴えていた訴訟案件である。植村隆氏と言えば、いわゆる「従軍」慰安婦報道で知られる元朝日新聞記者であり、現在では「週刊金曜日」の発行人という有名なジャーナリストである。
判決は植村氏敗訴に(画像は植村氏著書『真実』、週刊文春ツイッターより:編集部)
一方の文春はさておき西岡力氏と言えば、慰安婦の「強制連行」を否定し、数々の論戦を展開、今回と同趣旨の、高木健一弁護士との争いでは最高裁で勝訴した有力な論客の一人である。
東京地裁は名誉毀損の認定はしたが損害賠償は認めず、植村氏の請求を棄却した。これはある程度予想された通りの結果のようだが、植村氏側は控訴するという。
なお、「従軍」慰安婦報道をめぐり、植村氏はジャーナリストの櫻井よしこ氏らを相手にした名誉毀損訴訟も起こしているが、そちらについては、2018年11月札幌地裁が植村氏の請求を棄却し、現在高裁で争っている。
3つの問題点
判決内容の妥当性や慰安婦報道に関する問題はここでは論じない。そうではなくて、言論人にもかかわらず裁判に訴えざるを得ないところまで追い込んだ社会的制裁に関連する問題を考えたい。筆者が感じる問題点は次の3点である。
問題1:新聞社の編集方針のもと記事を書いた記者個人に対し、批難
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