ブランシャールが朝日新聞のインタビューで「消費増税は無期限延期を」と提言した。この時期になって延期することは行政的に不可能だが、「IMFとの間でも議論を重ねた上で増税反対の結論に達した」という。安倍首相の判断に影響する可能性もある。
彼の話の内容は5月の提言と同じだが、主流派の指導的な経済学者が増税延期を求めたことは、MMTとは比較にならない重みがある。そしてこれは山本太郎氏の財政赤字はフリーランチだという主張と矛盾しないのだ。
まず明らかなのは、ゼロ金利が続くかぎり政府は借金したほうがいいということだ。これは誰でもわかるだろう。金利がゼロなら、無限に借金して少しでもリターンのある安全資産(たとえば国債)に投資すれば確実にもうかる。
政府の場合は既発債をゼロ金利の新発債で借り換えれば、利払い費が減って財政が再建できる。現実に日本政府の利払い費は、次の図のようにネットで0.4%まで下がっている。長期金利が名目成長率より低い(r<g)状態では、財政赤字の財政的コスト(fiscal cost)は発生しない。
問題は、財政赤字が将来世代の負担(welfare cost)になるのではないかという点だ。これは複雑なので、くわしくはブランシャールの論文を読んでいただくしかないが、ざっくりいうと企業が貯蓄過剰のときは政府が消費すれば成長し、将来世代も豊かになる。つまり長期金利が名目成長率より低
コメント