前編では、奥谷氏が考えるこれからの小売業のマーケティングや、オムニチャネル化を進めるとともにマーケティングの4Pのうちいかに優れた“Place”を創れるかがデジタル時代を生き抜く成功のカギであることをお伺いしました。後編では、優れた“Place”とはどのようなものか、具体的な事例とポイントに迫ります。
ーー奥谷さんが最近、「ここの“Place”の創り方はよくできているな」と思われた企業はありますか?
ベンチャー企業のヤマップという会社をご存知でしょうか。山登りをする際に使うアプリを提供している会社で、登山道を見たり、コミュニティを作って登山仲間と繋がったりすることができるのですが、ここで注目すべきが、ヤマップが持っているコミュニティです。このコミュニティでは、山登りする際の服をアップしたり、○○の山に登る時に気を付けたほうが良いポイントを教えたりと、登山好きのユーザーが活発にやりとりしていて、東京だけでなく、全国でユーザー主導のオフ会を行ってしまうほど登山好きの人が集まっています。その“山愛”が強く、場合によっては国土地理院の地図まで直してしまうほどなんですが、今このヤマップが資金調達をして、新たにヤマップユーザー向けに商品やサービス開発を検討しています。コミュニティがあって、そこからサービスが生まれるという発想は、まさに顧客と顧客をダイレクトに繋ぐDtoCの発想と同じですね。
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