五月後半は安倍首相にとって、憂鬱な外国の選挙結果が予想されていた。オーストラリアでモリソン首相与党の敗北が決定的といわれ、インドでもモディ首相が苦境にたっていたのである。
左からモリソン、安倍、モディの各首脳(官邸サイト、Wikipediaより:編集部)
ところが、オーストラリアの総選挙では、与党保守連合(自由党、国民党)が下院選(定数151)で少なくとも現状維持で予想外の勝利を収め、モリソン首相の続投が確実になった。
経済のぱっとしない動きのなかで、労働党は低所得者向けの減税、最低賃金引き上げ、温室効果ガス削減、不動産・株式投資家向け優遇措置の縮小といった政策を主張したが、掲げたが、経済不安がかえって政権交代を不安視させた格好だ。
インドでは1ヶ月近くにわたって投票が地域ごとに行われ、開票は23日に一斉に行われる。これまでは出口調査の公表が禁止されてきたが、最後の投票が終わったところで報道が解禁となり、モディ首相の率いるヒンズー主義保守政党である人民党が、ネルー・ガンジー一家の率いる国民党に勝利し、かなり安定した政権運営が可能になる議席を確保した模様である。
このインドとオーストラリアの保守政権は、中国とは距離をとり、安倍首相の価値観外交の主たるパートナーだった。それだけに、政権交代しても急激な政策変化はないだろうとはいうものの、憂鬱な材料であった。
とくにオーストラリアでは与党
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