不動産の世界にも、ITインフォメイションテクノロジーを取り入れようとする動きが広がっているようです。「不動産テック」と呼ばれる分野ですが、私は不動産とITの相性は、あまり良くないと思っています。
写真AC:編集部
確かに、ブロックチェーン技術を使って不動産の登記を電子化する。あるいは定型化された不動産取引の事務管理作業を自動化するといったサービスには、価値があるかもしれません。
しかし不動産売買の世界は、未だにテクノロジーでアプローチできないアナログな世界が残っているのです。
例えば、AI(人工知能)によって、不動産の取引情報の蓄積から物件の実勢価格が自動的に計算されるサービスがあります。周辺の取引事例をデータベース化し、それを使って価値を推測する手法です。取引事例が豊富にあれば、それらとの比較から不動産価格を推測するのは可能です。
問題は、金融資産と異なり不動産の場合、データを取得するのに大きな困難が伴うことです。
株式や投資信託のような金融商品は取引データが公開されて、正確な数字が入手できます。これに対し、不動産取引の多くは未公開物件で、取引は売り手と買い手の相対で行われ、取引情報は一般公開されていません。
また、取引価格も現金取引で割引があったり、交渉で値段が変わったりと数十万円単位で変わってくることも珍しくありません。
これらの不動産情報が全て反映されれば、人工知能が瞬時に
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