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北方領土をめぐる日露交渉に、喝!(下)

経済ニュース
私の見るところ、安倍政権にとりロシアとの平和条約締結を急ぐ最大の理由は、対中戦略上の要請だと考えます。
1月22日、日露首脳会談後の共同記者発表(官邸サイト:編集部)
今の日本にとって、「中国の台頭」こそが最大の戦略的課題であり、同盟国である米国との関係を重視する(が故に集団的自衛権の行使に踏み切った)のも、インドや豪州、台湾、モンゴルなどとの連携を強化するのも、朝鮮半島情勢をめぐる日米韓の協力を緊密化させようとするのも、東南アジアや南太平洋諸国との協調体制を構築するのも、すべては中国との地政戦略的なバランスを安定化させるための努力の一環です。そこに、ロシアを引き込もうというのが安倍総理の外交戦略です。
しかし、ロシアにはロシアの戦略があり、国益があります。たしかに、人口1億を超える中国東北部と国境を接するロシアの人口はわずか6%に過ぎず、経済的にも軍事的にも中国からの大きな圧力を感じていることは間違いありません。だからといって、プーチンのロシアは、日本が描く戦略図の中にはめ込まれるような軟(やわ)な国ではないでしょう。
しかも、日本はロシアの仮想敵国ともいうべき米国の最大の同盟国です。しかも、北方領土(周辺海域を含む)は、冷戦期から軍事的な価値は変わらないのみならず、サハリンのガス油田開発や北極海航路などにみられる経済的な価値も増大していますので、なおさら妥協の余地は小さくなって

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