金融危機の元凶が金融規制だという究極の矛盾
銀行業においては、いかに多数の銀行があって、それぞれが相互に競争しているようにみえても、業務の内容が基本的に同一なので、同一条件に対しては、同一方向の経営行動がとられやすい。しかも、皆が全く同一の金融規制に服しているので、ある規制上の理由で、ある方向へ一つの銀行が動けば、他の全ての銀行も同一方向へ動く可能性が高いのである。
これは、日本だけの問題ではなく、全世界的な問題である。そして、金融危機の裏には、常に、こうした金融機関の画一的な行動様式があるのである。
危機の前提として、いわゆるバブル的な騰貴が先行する。バブルは銀行等の与信の集中がなければ生じ得ない。日本の昭和の不動産バブルや、米国のリーマン破綻に先立つ信用バブル、即ちサブ・プライム等への与信の集中的拡大は典型的事例である。なぜバブルが起きるかというと、銀行等は、同一類型の対象に対して、与信先としての魅力を感じてしまうからである。どういう類型の対象に魅力を感じるかというと、金融規制上、取り組みやすいものである。
バブルは、一定の時間の後には、崩壊せざるを得ない。バブルの崩壊は、巨額な不良債権等の発生として、銀行等の経営を激しく直撃し、破綻すら招いて、深刻な金融危機を生じさせる。1998年の日本では、不動産バブル崩壊に起因する大手銀行の破綻を含む金融危機があり、2008年の米国には、リーマン破綻後の国際的金融危機があった。
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