民主党政権下の尖閣国有化で、地権者から買い取った20億5千万円の算定根拠について、前編では、まずその正当性に疑義が残る経緯を指摘した。そして、当時の毎日新聞(2012年9月12日付)の記事を元に、尖閣の価格算定に「再生費用法」を用いたことを振り返ったが、そのなかで指摘のあった、国土交通省土地・建設産業局検討チーム作成の「算定の考え方について」という文書が筆者の手元にある。ポイントなる該当部分を切り出してみよう。
国交省資料より
毎日新聞の記事とほぼ整合しているので、この資料が元資料であると考えてもよいだろう。簡単な四則演算のみで算定された、官房長官が言うところの「国が島を保有することの価値」には、埋め立て費用をもとに計算された事実が書いてあるだけだ。外交安全保障、排他的経済水域の維持管理、生態系の保全といった、経済的、非経済的価値に関する考察は一切なされていないし、距離や人口、島間格差といった補正係数が意味するところについても説明はない。
同時に、この報告を国土交通省に依頼したのは内閣官房の庶務を司る内閣総務官室で、国土交通省が内閣総務官室に報告を返したのは9月7日であることが分かっている。であれば、報告の取りまとめを指示したのは、官邸と考えるのが合理的である。政府が取得する土地の価格を、政府が算定したのであれば、そこにどのような意図が働いたのか、と勘ぐられても仕方ない。
なお、こ
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民主党政権の“モリカケ” 尖閣国有化価格決定の不可解(後編) — 堀 英二
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