日本の報道の画一性の源泉はマスメディアによる事案の【ステレオタイプ化 stereotyping】にあります。例えば政治報道におけるステレオタイプとしては「日本を戦争に導くために独裁を強める首相官邸」「権益をむさぼる腐敗閣僚」「私利私欲に走る金権政治家」「政治家に忖度する御用官僚」「金儲けしか頭にない悪徳財界人」「多様性のために戦うリベラル政治家」「弱者の味方である人権派弁護士」「権力を追及する良識派ジャーナリスト」「戦争を阻止する進歩的文化人」「巨悪に屈しない勇気ある市民活動家」などがあります。日本の政治報道は、基本的にこのような偏見に溢れた滑稽なまでのステレオタイプを前提とするコンテクストの中で展開されています。
なぜ、日本のマスメディアが三文ドラマ風のステレオタイプ化を報道に多用するかと言えば、単純に「大衆受け」するからと考えることができます。縮小する一方のマスメディア業界において、少しでも報道の注目度を上げるためには、事案をドラマ化する演出が効果的であることは自明です。複雑な事案をわかりやすい構図に無理矢理落とし込むことによって、かつての勧善懲悪の時代劇や犯人バレバレの2時間サスペンスなど、思考が停止していても楽しめる「超大衆ドラマ」を再現することが可能となります。また、ステレオタイプ化により、事案の分析を省力化することも可能となります。実際には様々な因果関係によって成立して
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