先月末に行われた2回目の米朝首脳会談は、「朝鮮半島の非核化」に関わる交渉に進展がないまま協議は物別れに終わった。今回の協議でトランプ大統領が事後の会見で語ったような「制裁の全面解除」を金正恩委員長が求めたというのはにわかに信じがたい。
ホワイトハウスFBより:編集部
どちらかといえば、北朝鮮が隠していた新たな施設を含めたすべての核関連施設の破棄を会談当日にいきなり提示したのは米国側であって、この結末は予想通りの展開であったと今頃トランプ大統領は「ひそかにほくそ笑んでいる」のではないか、と筆者は勝手に想像している。まあこの真偽のほどはともかく、わが国にとって「この結果が日本人拉致問題解決にとり最大のチャンスをもたらした」ということは間違いないであろう。
今回の会談で金正恩委員長は、トランプ大統領との交渉が一筋縄では行かないことを身に染みて感じるとともに、「非核化交渉の長期化」と「早期の制裁解除は困難」という見通しを肝に銘じたことであろう。とすると、当面の措置として制裁解除に代わる経済支援の獲得手段をいずれかに追求しなければならなくなる。
ここで、日本に「白羽の矢が立つ」可能性が高まったと考えられるのである。わが国は何よりこの機会をとらえ、なるべく早期に北朝鮮と2002年に交わした「日朝平壌(ピョンヤン)宣言」に基づき、まずは拉致問題の解決へ向けての正式な交渉を始めるべきであろう。もう
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