有馬純 東京大学公共政策大学院教授
石炭火力に対する逆風がますます強まっている。環境団体はパリ協定の2℃目標を達成するため、石炭関連資産からの資本引き上げを唱道し、世界の石炭資源の88%は使わずに地中に留めておくべきだと主張している。COP24では議長国ポーランドのドウーダ大統領が初日に「石炭利用と温暖化防止は両立する」と発言したことが理由でポーランドが化石大賞を受賞した。米国がサイドイベントにおいて「エネルギーアクセスの観点から化石燃料のクリーンな利用を排除すべきではない」と述べると環境団体から「恥を知れ」と野次が飛ぶ。世銀や欧州復興開発銀行等の国際金融機関は石炭関連の融資を停止するとの方針を相次いで発表している。
国際エネルギー機関(IEA)はパリ協定の各国目標を盛り込んだレファレンスシナリオ(NPS)と1.5℃~2℃と整合的な持続可能シナリオ(SDS)の間には大きなギャップがあり、SDSを実現するためには世界全体の発電電力量に占める石炭のシェアを現在の38%から2040年には5%に引き下げる必要があるとしている。
図1:自然体シナリオと持続可能シナリオにおけるCO2排出量と電源構成
しかしSDSが示唆するように世界のエネルギーミックスにおいて石炭の役割がかくも激減するかというと大きな疑問がある。過日、ASEAN諸国(インドネシア、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ベトナム)
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