連載第1回『「初代王者」は誰だったのか?』はこちら
2010年代前半、ウェブマーケティングの世界では、ネットからリアルに顧客を誘導することを「O2O」(Online to Offline)と呼びならわしたことがあった。ちょうどLINEが台頭していった時期だ。なにぶん流行り廃りが激しい世界なので、「O2O」という言葉すら忘却の彼方になっている感があるが、政治家のブログで「O2O」を体現した動きとして草分けと言えるのが、2007年の自民党総裁選での「珍事件」だった。
この総裁選は、本来は「予定されていない」ものだった。その1年前、5年半の長期政権を築いた小泉純一郎首相の後任として、安倍晋三氏が戦後生まれとして初の総理総裁に就任。党内でも圧勝だった。
しかし「消えた年金」問題を機に第一次安倍政権は窮地に追い込まれ、閣僚の不祥事も続出し、支持率が急落。2007年の参院選に自民党は歴史的大敗。過半数割れとなり、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」となって政権は座礁する。それでも安倍首相は内閣改造でテコ入れし、9月の臨時国会冒頭で所信表明演説を行うなど続投への意思を見せたが、持病も悪化していた安倍氏は突然辞任。急きょ総裁選を実施することになった。
当初は、前年の総裁選で少数派閥の河野グループ所属でありながら、安倍氏(464票)に次ぐ136票を確保した幹事長の麻生太郎氏を有力視する向きもあっ
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