有地浩氏の記事に私も同感だ。長期的には消費税の増税は必要だが、今回の増税案は軽減税率やポイント還元など複雑怪奇で、消費税の最大のメリットである「一律で透明な税」という特徴がなくなった。
写真AC:編集部
政府債務を削減することは必要だが、ゼロ金利では優先順位は高くない。政府債務が増加した最大の原因は社会保障給付の増加だが、それを削減できないとすると、負担増にはざっくりいって次の三つの方法がある。
・消費税の増税
・社会保険料の増額
・国債の増発
本来はEUの付加価値税(VAT)のように一律に課税することが望ましいが、安倍政権の増税案は例外だらけだ。一旦こういう前例をつくると軽減税率をめぐるロビイングが起こり、業界に食い物にされる。今回の増税で新聞が軽減税率になったのはその典型で、「逆進性の解消」とは無関係だ。
このまま社会保障給付が増えると、長期的には消費税率はEU並みの20%ぐらいになるので、今後もロビイングは激しくなるだろう。フランスの例でみると、食品や新聞だけではなく、医療、金融、宿泊、不動産、教育なども軽減税率を求め、次の図のようにVATは政治力の強い業界に食い散らかされる。
フランスの付加価値税率
消費税を増税しないと、社会保険料を増額する必要があるが、これは労働者に課税して年金生活者に給付する所得再分配だ。国債の増発は、負担を将来世代に転嫁する世代間の再分配である。つま
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