かつての私たちはなんと楽観的だったことだろう。テクノロジーは私たちに環境と調和した豊かな世界をもたらして、さらには新しい世界さえ連れてくる筈だったし、インターネットは国境を消し去り、あらゆる障壁を普遍的な表現の自由で置き換えて、私たち皆をより近しいものにしてくれる筈だった。私たちがあらゆる進歩を楽しみに見つめていた時代のことを覚えているだろうか?
私は、Liu Cixin(劉慈欣)による素晴らしいSF3部作である”Remembrance of Earth’s Past”(地球の追憶)シリーズを読み終えたところだ。それは私たちの時代に対して、冷静に切り込む悲観的な物語である。あまりネタバレしないように紹介するならば、この物語は異世界との楽観的な接触への期待が、決して思うようには進まない ―― なぜなら宇宙は「暗い森」(”The Dark Forest”:3部作の2冊めのタイトル)だから ―― という苦い気付きを描き出す作品だ。ここで語られる「暗い森の理論」とは、文明というものは、お互いを恐れるがゆえに、自分たちがいきなり潜在的な脅威と見なされ破壊されることがないように、あえて自分自身を積極的に晒す(さらす)ことはしないというものだ。
ここにはある種の類似がある。私たちは、テクノロジーを恐れ、それが提供するすべてのものに不信感
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