『日本国紀』の内容でいちばんの驚きは、応神天皇は仲哀天皇を討った熊襲、継体天皇も王朝交替の可能性が強いとして万世一系を否定的にみていることだ。つまり、今上陛下は神武天皇の子孫でないと強く示唆しているのである。
百田氏(ブログ)、神武天皇(Wikipedia):編集部
本稿では、百田氏を批判しようとかそういうことでなく、私が1989年12月号に『中央公論』で『霞が関から邪馬台国をみれば 』で発表して以来長く主張してきて、それなりに知られている、『日本書紀』を中世以降に加えられた皇国史観的な粉飾から脱して率直に読めば、その内容には説得力が高く、万世一系も真実である可能性が高いという説の根拠を二回分けて説明しておきたいと思う。
『日本国紀』の万世一系否定論で、愛国者である百田尚樹氏まで否定的だというので動揺し心配している方にとくに読んでいただきたい。
もちろん、神武天皇に始まる皇統譜を間違いないとして立証するのは無理である。司馬遷の「史記」にえがかれた殷の時代の記述が正しいと確定したのは、同時代の甲骨文字が殷墟から出土し、内容が一致したからだが、4世紀以前の日本では文字はほとんど使われていなかったから、そういう遺物が発見されることはほとんど考えられないからだ。
だから、私が主張できるのは、『日本書紀』に書かれている皇統譜は、いちおう、矛盾なく説明できる内容なのであるから、否定的な推理を必
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