フランスでは燃料税の引き上げに反対する「黄色いベスト」の暴動が起こり、マクロン政権は増税の実施を延期した。化石燃料に課税することは地球温暖化対策として合理的だが、どこの国でも増税は不人気だ。特に間接税は「痛税感」が大きいので、こういう情報弱者の反発を受けやすい。
フランスを揺るがすジレ・ジョーヌのデモ(KRIS AUS67/flickr=編集部)
日本でも、いまだに消費増税に反対する人が多い。それも左翼ではなく、ネトウヨ系だ。今は亡きリフレ派が「うまく行くはずのリフレが失敗したのは2014年の消費増税のせいだ」と責任転嫁し、そこから「反消費税」に転進したらしい。リフレ派にはそれなりに理論があったが、これは理論の体をなしていない「どマクロ経済学」だ。
彼らがよくいうのは「財政支出を増やすと景気がよくなって税収が増える」という話だが、これは大学1年の教科書で習う短期の理論だ。教科書を最後まで読めばわかるように、こういう効果は財政支出が終わったら消える。民間投資がクラウディングアウトされて潜在成長率が下がり、残るのは長期停滞と政府債務だ。
情報弱者には、そういう長期的な因果関係がわからない。政府債務の最大の原因は、社会保障特別会計の赤字だ。賦課方式の年金保険料は税と同じで、健康保険料(介護保険料を含む)は11.5%、厚生年金保険料は18.3%なので、社会保険料は約30%の国民負担だが、そ
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