ようやく提唱されだした、日本経済に対する楽観論
日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由 [単行本]
塚崎公義
河出書房新社
2018-09-21
マスコミはとかく「悲観論」を好む傾向がある。
これはマスコミの責任ではなく、「悲観論」の方が読者や視聴者に受けるからだ。
そもそも、人間は楽観的なことより悲観的なことに強い関心を示す傾向がある。
健康診断に行って、「大丈夫でしょう」と言われるとホッとする程度だが、「再検査が必要です」と言われると、再検査の結果が出るまで気になって仕方がなくなるものだ。「あなたには悪い霊が取り憑いている」というのは、一時期流行った「印鑑商法」という詐欺の常套句だ。
日本経済に関しても、悲観論を説く書籍ばかりを目にしてきたが、最近になってようやく楽観論を説く書籍がチラホラ見受けられるようになった。「日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由」(塚崎公義著 河出書房新社)は、その代表例だ。
バブル崩壊後の大不況のメカニズムを丁寧に説き明かし、現在の日本経済の状況を概観し、将来の日本経済の予想をしている。平成30年間の経済を分析した上で、将来の経済予測を立てるという系統だった組立てだ。
本書の最大の特徴は、常に代表的な悲観論と楽観論を対比させながら、バランスよく論じている点だ。社会保障費の増加や少子化というマイナスの大きい問題は素直に受け入れ、模索しながら解決方法を提示している。
もちろん、提示され
コメント