「日本国紀」の平安時代から関ケ原までを読んでみると、一言で言えば、とくに百田史観!炸裂!というような毒が強いものではない。例によって、日本人はいつの時代も素晴らしかったということの再確認をしたい人には気持ちよく読めるのではないか。
百田氏と井沢氏(百田氏ブログ、BSジャパン「逆説の日本史」サイトより:編集部)
そんななかで目立つのは、井沢元彦氏からの強い影響である。祟りや怨霊の重視、武士の勃興についての見方、刀伊を撃退した藤原隆家の称揚、足利義満の皇位簒奪計画という見方への支持、信長や秀吉についての見方などである。古代では応神天皇についての記述とか、すでに「「日本国紀」の江戸時代観には根本的な矛盾がある」で書いた江戸時代の経済政策などの見方もそうだ。
これらは、パクリとか盗作とかいうことではまったくないが、井沢元彦氏の「逆説の日本史」の猛毒が聞いたユニークな分析に百田氏は非常に刺激されるところがあって、それに賛成されている箇所が多いのだと思う。
井沢氏の歴史観は、しばしば、陰謀史観チックなものだ。だから「そういう決めつけはいかがなものか」と私はいいたいが、ただ、そんじょそこらのいい加減な作家でないから、かなり緻密に破綻は避けられており、「ありえないと決めつけるのは難しい」という性格のものだ。
それでは、井沢氏に影響された箇所が多いにもかかわらず、その旨に触れていないことの是非につい
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